第十三章 日本のことあれこれ
アメリカから友が来日
帰国後半年ぐらい経ってからだろうか、アメリカの友人から、日本に行くが「出来たら成田まで迎えに来て欲しい」とう手紙が届いた。OKという返事を出し、当日彼を迎えに行った。彼は大学時代の友人で、二年ぶりの再会であった。一緒にサッカーを楽しんだ友であり、例のカナダ密入国事件の時も一緒にいた仲間である。再会のうれしさにひたりながら、駐車場に向かった。すると彼は「何でこんなところに車の販売店があるんだ」と私に聞く。

私は「何訳の分からないことを言ってるんだ」と逆に尋ねた。彼は、「新車ばかり並んでいるじゃないか」と言う。アメリカでは、オイル交換などはよくやるが、車は動けばいいと考え、あまり外装の手入れはしない。一年や二年、洗車しない車がざらにあるのではないかと思われるぐらいに汚れている。らくが落書きされている車もよく見かけた。とにかく彼は成田に着くやいなや、新車ばかりの駐車場には驚いたようだ。

車と車の間を抜けて、弟の車の駐車場所に着いた。その間十分。彼は「あれも新車、これも新車」と驚いていた。荷物を積み、車に乗り込もうとする彼に、私は靴を脱いでくれと言わなければならなかった。つまり弟の車は、土足厳禁なのである。私はこのようなことは好きではないが、弟がそうしているのだから、借りている立場上仕方がない。私のこの台詞にも彼はびっくりしたようで、車を走らせながら十五分ほど説明した。

彼は「この車も新車だね」と言うので、「買って二年以上は経っている」と答えた。すると彼は「日本では買って二年以上の車は新車と言わないのか」と不思議がられ、私は一つ勉強になった。

有料道路の料金所
車の中には人形やお守りがいろいろあり、彼は興味津々にそれらを見ていた。アメリカ人には、車内の土足厳禁や過剰な飾りなど、思いもつかないことであった。それから彼がもっとびっくりしたのは道路の料金所である。横須賀のホテルに到着するまでに五つぐらい料金所を通らなければならず、最後の横浜横須賀道路(横横)で千円を支払った私に、「たった二十分も走っていないのに、なぜそんな高額なお金を支払わなければならないのか」と不満たらたらであった。アメリカにはそれほど有料道路がないために理解しがた難いわけだ。さらに、お金を取っているならスムーズに走れなければならないはずなのに、工事や自然渋滞で思うように進まない、ということもアメリカ人にはとても理解できることではなかった。彼はまた、日本の玄関としての成田空港が、都心から離れ過ぎているのも珍しいしあまりにも小さい、とも言った。

空港使用料
極め付けは、彼が帰国する時のことだ。ここまでしか見送りができない、という場所にエスカレーターがあり、そばに自動販売機があって、二千円の券を買わなければ、出国できないことになる。その券には成田空港使用料と書かれている。彼は、そのような支払いがあることなど考えていなかったので、所持金を全てドルにか替えしまっていた。自動販売機のことなど気にせず、エスカレーターで降り、係官の横を通り過ぎようとすると、「上で券を買ってきて下さい」と言われた。自動販売機を見ると日本円のみと書かれている。

私はお金が交換できる場所に彼を連れて行ったが、かなりの列であった。どんくさいおばさんが換金に時間を取っていて、私達はいらいらした。それまでレストランでゆったりくつろぎ、最後のフライトの呼び出しの時にゆっくり腰を上げた彼にとり、よゆう余裕の時間などなかったから、それまでのslowからfastに、と焦った。これで飛行機に乗り遅れたら、彼にどんなことを言われるか分からない。私も、あの時は焦りまくった。友達はぶつぶつ言いながら空港使用券を買い、エスカーターに乗り、姿を消した。

友人の日本の感想
彼の二週間の日本滞在で、感想のトップは、日本の物価が高いということであった。ガソリンやバス、食事などどれをとっても、全てアメリカより高い。それと人の多さにはびっくりしたらしい。ラッシュ時の電車に乗せたのだが、彼は東京まで行くだけでつか疲れてしまった。こんざつ混雑した通勤電車に乗った後に、よく日本人は仕事が出来るものだと感心していた。また彼は、人の視線をよく感じたそうだ。彼は欧米人ということもあるが、一九五センチものおおおとこ大男なのでなおさらである。車内で私と友人が子供の前に立った。その子供は五分ほどして友人に気づき、この世にこんなでかい人がいるのかとでもいうような、びっくりした表情で見ていた。 (つづく・感想文をお寄せ下さい)