シャワーで火傷した頭、胸、それと股間のちょっと脇。この股間の脇にクリームを塗っていたちょうどその時、ルームメイトが部屋に戻って来た。私が変なことをしていると直感した彼は、部屋に入ったとたん、赤くなって「失礼」と言い、出て行ってしまった。何と言っても私の股間にかかわることだからね(これはギャグ)。私の沽券(こけん)にかかわるので、後でルームメイトに股間の脇を見せて説明、納得して貰った。ところが、もし私が股間を見せているところを他の人間に見られでもしたら、それはそれで誤解が誤解を生んで、私は大学にいられなくなったかも知れない。

ライブショー
こんな笑うに笑えない経験もした。私は友達とライブショー、つまり女性が裸で踊っていたり、いやらしいビデオが映し出されている個室に行ったことがある。その時の出来事である。十ぐらいある個室の一つに入った。すると椅子が一つ置いてあり、二十五セント玉を入れるところがあった。財布から二十五セントを六枚ほど取り出し、入れてみると、紙芝居のように鏡の向こう側のついたてが上がり、中が見えるようになった。

四人ほどの女性が薄着で休んでいた。私の前が開くやいなや一人が私の前で踊り始めた。二十五セントでは一分も持たず、次々に二十五セントを入れた。初めに用意した六枚の二十五セントはすぐに使ってしまった。十ドルをくずし、四十枚の二十五セントに換え、心いくまで楽しもうと決めた。横には何と、ティシュが置いてあるではないか。ああ、こういうところで発散する人もいるんだなあと思いつつ、二十五セントを入れ続けた。
女性は徐々に服を脱ぎだし、下着も取り始めた。私は「おっ、これは」と、期待に胸をふく膨らませた。二十五セントはまだあるから大丈夫、とリラックスしていた。踊っている女性のルックスは抜群で、美人女優と言っても通じるぐらいであった。私は理性を保とうとしたが、私の息子は直立不動状態になりつつあった。私もこのティシュのお世話になるのかなと思った。
彼女はパンティーに手をかけ、膝まで降ろしてから足を抜いた。手で前を隠して私の前に立った。

私の息子は、ドイツのアウトバーンを二百キロ走行している車のメーターのように、振り切れんばかりの状態だった。ところが、彼女が前を隠していた手を取ると、二百キロ走行をしているのに、前に飛び出した猫のため、急ブレーキをかけた状態で、メーター(私の息子)は急降下した。つまり彼女ではなく、彼、即ち男性だったのである。先に思い切って四ドル分ぐらい入れたから、まだ画面は開いたままであり、その男は、ぶらぶらさせながら踊っている。残りの二十五セントはまだ二十枚ぐらい積み重ねてあったが、そこにいる自分がいやになった。まさに踏んだりけ蹴ったりの一日だった。今思えば、若き日のいい(?)思い出である。もっといろいろあるが、書けるのはこれぐらいが限度だと思うので、後は割愛する。興味があれば、私のところに聞きに来てよ。

必要単位平均を割る
そんなこんな、いろいろ経験したが、大学での講義の話をしよう。当然ながら全てが英語であった。驚いたことに、話すスピードが早い。五十五分の講義の間、先生はほとんどしゃべりっぱなし。日本とは違い、黒板は使用しない。全ての生徒(私を除いて)の鉛筆を持った手は、何かと競争しているかのようにノートに向かっている。みんな真剣なまなざしで、質問が飛びか交い、議論が始まる。日本の大学とは大違いである。

授業が始まってあっと言う間に一週間が経ち、学友にノートを見せて貰った。たった一週間なのに、一クラス(この時私は五クラス十五単位、一クラスが三単位)だけで、英語がびっしり書き込まれたノートが、裏表二十五枚はあった。たったの一クラスだけである。私は溜息をついてしまった。

だいたい一クラスだけで一学期中に二十冊の本を読み、レポートを四つ提出する。その上、定期テストを二回、その他のテストが五回ぐらいあるというのが相場で、五クラス取っている私は、その五倍になるわけだ。そのハードさに、立ちくらみを五回ぐらいし、鼻血も数回出した。そして一学期目が半分過ぎようとしていた時、大学から手紙を受け取った。

その内容は私の成績に関することで、「あなたの成績がこのままだと卒業成績必要単位平均を割ってしまいますから一層の努力を期待する」と書かれてあった。実力社会であるアメリカの学校は、日本とは違い学年制を取ってはおらず単位制である。 (つづく・感想文をお寄せ下さい)