プロテスタントとは反抗や反対の意味を持ち、カソリックに対する反抗・抗議の結果、カソリックから分裂しプロテスタントとなった。それを信仰している人達。これがWASPで、今ではアメリカ国民の一パーセントに満たないが、それでも存在するらしい。この人種がトップで、以下、アメリカに移民して来た順で、フランス系などが続くらしい。黒人といえば今では一番下ではないようで、中の下、または下の上ぐらいかな、と私の友達は言っていた。では日本人はどうか。残念だが、人種的地位はかなり低く、黒人より下らしい。

アメリカの法律改正
アメリカという国は戦後五十年間に幾度となく法律をかいせい改正してきた。その主な改正の内容は、人権保障についてである。私がアメリカに行ってすぐ、アルバイトでお世話になったレストランのオーナー(女性)の旦那さんは、ボーイング社に勤めている日系人であった。よく戦後の日系人の扱いを話してくれた。

黒人よりひどい扱いを受けてきたと言っていた。しかし、現在は違う。日系人は戦後、黒人以上に差別されたにもかかわらず、がんばってきた。そして、日系人、韓国人、中国人はアメリカが人権保障に関する法律を改正するたびにアメリカでそれなりの地位を確保してきた。日系人は、戦時中に収容所に入れられたことについて、戦後、補償を訴え続けてきた。そのかいがありレーガン大統領の時、一人二万ドルのお金をアメリカ政府から勝ち取った。

その旦那さんは、ウイスキーを片手に、「これはお金の問題でなく、われわれ日系人が努力を続けた成果であり、そしてそのことが、われわれがアメリカ社会でしっかりした地位を得たあかし証だ」と誇らしげに、しかし淡々と、話してくれた。日系人は、顔つきは日本人そっくりだが、日本語を話す人はさほど多くない。気持はアメリカ人である。戦後五十年間はかなり厳しい生活状態であったはずだが、法律改正の都度、社会的地位を向上させてきたのである。

ところが黒人はどうであろうか。黒人の三人に一人は刑務所や留置所に入った経験があるなど、黒人は信用されなくなってしまっている。勿論、りっぱ立派な人もいるし、私の友達にも黒人はいる。そんな黒人の友人と話した時、彼は「残念なことだ」と言った。そして「われわれ黒人は一人一人がもう少しじかく自覚を持つべきなんだが…」と話していた。

黒人差別不解消
芸能、文化、スポーツ、財界で成功している黒人は少なくない。しかし、その陰で大衆レベルの差別が無造作に行われている。アメリカはこの二十年近い間、法律を何度も改正してきた。それは差別問題などを少しでもなくそうとしたからだ。しかし、黒人だけがその波に乗り遅れてしまったように私には思える。日系人、韓国人、中国人もかなりな差別を受けたはずであったが、今の社会的地位を確保した。その都度彼等は努力したのである。

私の黒人の親友は、とてもいい人間だ。私という日本人にとくに親切にしてくれた。前にも述べたが、彼は小さい頃から黒人として差別を受けていたので、差別を受ける側の苦しみがよく分かる。だから日本人である私に親切にしてくれた。私の大学はキリスト教系だったから、教えの中に人間は神の前では平等であるというのがある。いい教えだと思う。だが、アメリカというのはキリスト教徒が創ったはずの国なのに、世界一の人種差別国になってしまった。

その象徴的な例を話そう。
一九八二年九月、マイケル・ジャクソンが人気最高潮の時
私 :(白人の友達に向かって)マイケル・ジャクソンは好きか。
友人:いや、好きではない。
私 :なんでよ、いい歌、歌うじゃん。
友人:だって、あいつ黒人じゃねえか。
こんなやりとりをして、本当にびっくりした。現実の会話である。

黒人が住めない地域
日本人は住めるが黒人は住めない「地域」がある、と書いたが、その話をしよう。私の知り合いのレストラン経営者が家を買った。引っ越した理由はいろいろあるのだが、「理由の一つは、これまで住んでいた家の周りで、近所の黒人のがきが裸で歩き回るなど環境が悪くなったから」と話した。生まれた子供が女の子ということもあり、親として、子供の将来を考え、移転することにしたそうである。(つづく・感想文をお寄せ下さい)