第七章 アメリカ社会
子供の誘拐が多い

人種差別も社会問題であるが、ここでは私が見聞したアメリカの社会問題を書いてみたい。まず、子供の誘拐問題。今でも相変わらず深刻な問題だが、子供の誘拐が非常に多い国である。子供が誘拐される理由の一つは、親の離婚問題が挙げられる。子供の養育権利を巡った争いで、裁判で負けた側が、勝手に子供を連れ去るというケース。これが五○パーセントぐらいを占めているらしい。二つ目は風俗関係の仕事させる目的で連れ去られること。三つ目はレイプや変質者による誘拐が挙げられるだろう。

レイプ問題
レイプについて少し言及しておくが、アメリカはレイプの多い国でもある。私の通っていた大学院があるワシントン大学のキャンパスは、三百エーカーもあるという広大なものだった。中世を思わせる校舎が散在していて、私は好きだった。そのキャンバスの中で、私の在学中にも何回かレイプ事件が発生した。アメリカの学生の多くは、自分の部屋で勉強せず、図書館にこもって勉強をする。私の通っていた大学院の図書館は深夜0時まで開いていて、多くの学生がそこで勉強していた。

そしてアメリカの社会問題の一つに、ホームレスという家を持っていない人が多くおり、彼らは路傍に寝たりしているわけだが、中には大学のキャンパスに入り込んで寝ている人も多く、大学に雇われている警備員に追い出されるが、すきをみてまた入り込む。イタチごっこみたいで取り締まりが出来ない状態らしい。そういうホームレスに、深夜、女学生が一人で自転車で帰る途中に襲われたらしい。

引き取り手の親がレイプ
前にも触れたが、カンボジアの子供達などがアメリカ人に引き取られることが多い。引き取られた子供達が十三歳〜十五歳になった時に、引き取り手の親にレイプされるという酷い話もあるらしい。このような体験をした子供達は、父親にレイプされれば娘は男を拒むようになるし、逆に母親に誘惑されれば、その子は女性を拒むようになってしまうということである。

一番通りは歩くな
前に私の車のドアやラジオが盗まれたところで、通りの話を少ししたが、アメリカの町中の道路は分かりやすく一番通り、二番通り、三番通り、四番通り、五番通り、六番通りと、通りに番号名がついている。そしてそれと交差する道路には人の名前がつけられている。例えばケネディー通りとかジャクソン通りなど。だから、交差点がすぐ分かるので、町中で店などを探すのは楽である。ところで、アメリカ中どこでもそうらしいが、町中の一番通りは危険だとされ、とくに真夜中には絶対歩くなと言われている。

私が日本レストランでアルバイトをしていた時、一番通りを通ればバス停まで三分で行けたが、わざわざ四番通りを通ったものである。殺されずにラッキィーだったのだろうが、一番通りで黒人三人組みに殴られ、財布を奪われたことがあった。その日、私は一番通りを横切らないと最終バスに間に合わないと思って、つい一番通りを歩き痛い目に遭った。

簡単に手に入る銃
ここで、銃社会のアメリカを私なりに検証してみたい。
アメリカでは銃が簡単に手に入る。役所で手続きをして、貰った書類をガンショップに持っていけば売ってくれる。そして二週間もすると銃が手元に届く。私が、英語学校当時お世話になったアメリカ人の家族も、護身用の銃を持っていた。か弱い女の子でもう撃てそうな小型の銃であった。

ではなぜ、アメリカでは銃をそのように持ち歩いたり、家に置いておくのか。答えは簡単で、侵入者に襲われる確率や、犯罪に遭遇する恐れが、日本の数百倍も多いからである。当時は不況も大いに関係していたからだろう。二十ドル(当時の日本円で二千五百円)を奪うため、人一人を平気で殺してしまう事件さえ発生している。アメリカ全体の死亡率の中で、正確な数字は忘れたが、殺人が高い割合を占めているはずである。

アメリカは個人主義の国であるから、自分の身は自分で守る、という発想が出てくるのだろう。また、とくに女性は男性と比べて肉体的強度という点で劣るという事実。これらのことから、女性の銃携帯率が高いそうだ。大学の構内でもレイプがあるくらいだから、女性が銃で身を守ろうとするのは当然のことのような気がする。アメリカの犯罪の多さを考えれば、銃携帯もいたしかたがないと納得してしまう。   (つづく・感想文を寄せて下さい)