ホモの養子
カリフォルニアは、アメリカでホモセクシァルとレスビアンが夫婦になることを認めている唯一の州であったと記憶している。このため、夫婦になりに彼ら彼女らは他の州からカルフォルニアに来る。そして夫婦になると子供が欲しくなるみたいで、子供を養子として貰う。ホモセクシアルの人たちに引き取られた子供が、テレビでインタビューされているのを見たことがある。

養子になったその子は、どちらも筋肉質で例のごとく髭を生やしている二人を指して、「こっちが私のママでこっちがパパ」だと紹介していた。このかわいい女の子が、正直言って不憫に思えた。今は何も知らないが、大きくなった時にどうなるんだろうと、人事ながら心配してしまった。

とにかく私には全く理解を越えた世界で、あの男の毛むくじゃらな体と一体になるなんて想像も出来ないが、本人達は経験したら止められないようだ。私の知りたくない世界ではある。このごろ日本人も変なところでアメリカナイズされているから、気をつけた方がいい。

それはさておき、アメリカの面白いところは、悪びれずに「俺はホモだ」とか、「私はレズよ」とか、「俺はネオ・ナチだ」、「スキンヘッズ」だとはっきり言ってしまうところだ。これはアメリカ人の個人主義的な一つの特徴とは言えないだろうか。

話は変わるが、アメリカの医師が女性が人工授精する際、自分の精子を使ったということで問題になった。彼は百五十人の子供の親になってしまった。人工授精という言葉は耳にするが、日本ではどのぐらい普及しているのか、私には全く分からない。テレビでもあまり話題になっていないと思う。しかし、アメリカやその他の国では話題になっている。

第八章 日本人
当時、円高ということもあり、アメリカに留学する人が増えていた。私もその一人だが、体験者である私から話したいことがある。それは、自分が行こうとしている国のことを、もう少し勉強してから行け、ということだ。とは言っても、私にこんなえら偉そうなことを言う資格はない。なぜなら、私自身、計画性などなく、前にも書いたようにスタインベックの「怒りの葡萄」という本を読み、英会話の先生の話に魅せられてアメリカ行きを決めただけで、行く前にアメリカについて特別に勉強したことなどない。

しかし、反省という意味も込めて、アメリカに行って生活した体験から言わせて貰えば、アメリカに行くなら、アメリカの歴史、政治・経済、文化論などの本を、少なくとも二十冊は読んでから出かけて貰いたいと思う。旅行誌を読んだだけでは不十分である。数週間の旅行でも数冊の本は読んで出かけるべきだ。

ところで、外国に行くのはいいことではあるが、日本人の旅行客を見ていると心配なことが多い。円がドルに対してこの十年で二倍の強さを持つようになったのと比例し、日本人の外国に対する知識が二倍になったか、というと決してそうは思えない。その証拠に、五人の女子大生がイタリア旅行中にレイプされたと日本で話題になったことがある。イタリア男性に誘われ、彼の家までのこのこついて行き、事件に遭ったわけだ。全くなんと言う話だろうか。これではどうぞレイプして下さいと言うのと同じではないか。

イエローキャブ
また、私がアメリカに滞在していて思ったことだが、アメリカ人の性に関する認識は甘いように思えた。ある本を読んだら、アメリカの異性は、初対面の日に肉体関係を済ませてしまうカップルが、なんと六五パーセントにも達していると言うことが書いてあり、驚いたことがある。

ところでそんなアメリカ人に、日本女性は「yellow cab」と、陰で呼ばれていることをご存知だろうか。「yellow cab」というのはアメリカのタクシーのことだが、日本女性がそう呼ばれるのは、「呼べば必ず来て乗せてくれる」ということだ。想像はつくだろうが、どんなパーティーでも誘えばついて来て、乗せてくれる、と言う意味。簡単に体を許してしまうというわけである。性に無頓着なアメリカの男性から、日本女性がこのように見られている。

アメリカ人の友達から馬鹿にしたように言われ、私は同じ日本人として怒りを覚えた。しかし冷静に考えると、言われても仕方がない行動を取っているのも確かなことだ。日本の女性ほど引っかけるのに楽な人種はいないね、とまで言っていた。私はお好きなようにと軽く流したが、心の中はおだやかではなかった。 (つづく・感想文をお寄せ下さい)