ウインザーーへ
私がイギリスで使った交通手段は全てバスである。ロンドンにビクトリア・コーチ・ステーションという、ウエールズやスコットランドなどに行けるバスステーションがある。またここからパリ行きのバスも出ている。私の旅行はすべてここから出発している。その一つがウインザー城行きである。城の一部が火事になり、その修理費用を国民の税金でまかなうか、女王の負担にするのかでもめたウインザー城である。このバス旅行がイギリスでの初めての遠出だった。遠出と言ってもロンドンからバスで一時間ぐらいのところである。

車窓からの眺めが素晴らしく、時間が経つのを忘れてしまった。バスがウインザー城に到着した時、もう着いてしまったのか、と思ったほど、それは美しい光景であった。ウインザー城は、かつてシーザーも使ったという砦をもとに、ウイリアム征服王によって建てられた城である。その後、ヘンリー一世からビクトリア一世女王の間、王室のきょじょう居城として存在した。有名なラウンドタワーが目を引くこの城は、イギリス随一の大きさだ。テムズ河の向こうには、将来この国を担う若きジェントルマンが通う、名だたるパブリックスクールのイートンカレッジがあった。とにかく私の感想は素晴らしい城という一言に尽きた。その上、城もさることながら、周りの風景が美しかった。城の裏門と思えるところから、距離にして二キロから三キロぐらいか、コンクリートの道が一本通っていて、その両サイドに一定の間隔で木が植えてあった。

その周り一面が緑鮮やかな芝生で、家族連れの観光客が寝転んでいこ憩っていたり、ボールを蹴って楽しんでいるグループもいた。私はイギリスに来て初めてくつろいだ気分になった。ここにずっといたいという気持ちに強く駆られた。
イギリスに行く機会があったら、ここへはぜひ行ってみるように勧めたい。
 
オックスフォード
オッスクフォードは、日本でもよく知られた大学の一つで、大学都市を形成している。十三世紀の前半に作られた世界一古い大学である。約四十のカレッジからなり、それらはいずれも独自の歴史や伝統を持っている。それぞれのカレッジの建物も素晴らしく、その中でも私が最も素晴らしいと印象を持ったカレッジはモードリン、クライストチャーチ、マートンであった。

どのカレッジかは忘れてしまったが、グランドでサッカーをやっていた。観光も忘れ一時間ほど見ていたが、面白かった。そばにいた人に聞くと、その試合はオックスフォード大学の中のカレッジ対抗戦だとのことだった。かなり盛り上がっていた。日本と違って大学生活を本当に楽しんでいるように見えた。カレッジの中に入ると掲示板があり、クラスの個人授業を求むとか、研究書を探しているので持っている人は下記まで電話を、など彼ら彼女らの勉強に対する前向きの姿勢をかいま見ることができた。

私がオックスフォードを訪れた時は、イギリスに行って一ヵ月が過ぎていたころで、イギリスの大学のあり方がやっと分かりかけていた。オックスフォード大学を見て回ってから、時間的に無理かと思ったが、チャーチルの生家ブレンハイム宮殿にも足を運んだ。オックスフォードからバスで一時間ぐらいの町だった。二時半ごろオックスフォードを出たので、ブレイハイム宮殿に着いたのは、四時になろうとしていた。とにかく広く美しく、大きな池もあり、やはり、イギリスに行ったら一度は行ってもいいところの一つだと思う。

ケンブリッジ
オックスフォードと並んで、世界に名を馳せるこの大学町は、紀元前七十年までにローマ人によって造られた古い町だ。一二八四年に初めて建てられたピーターハウスカレッジから一九七七年のロビンソンカレッジにまで、合わせて三十五のカレッジを総称してケンブリッジ大学と呼ぶ。ケンブリッジ大学ではキングスカレッジ、トリニティーカレッジ、ジーザスカレッジがとくに素晴らしかった。

キングスカレッジのそばのセントメアリーズ教会。そこは最上階まで登れた。そこから見渡した夜景が美しかった。ただ、私の周りにいるのはほとんどカップル。一人ポツンといる私は、片身の狭い思いをした。今度ここに来る時はハネムーンだと心に言い聞かせながら、ケンムブリッジを後にした。なお、ここにあったフィッツウィリアム博物館もなかなかのものであったことをつけ加えておく。
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